
結婚式での記念撮影
(昭和21年6月4日 自宅で) |
遠い状況であった。そんななかでの結婚だけに、世界の経済大国に成 |
| 長した昭和40年代以降の豪華な結婚式からは想像もできない簡素な |
| ものだった。 まともな結婚式場がないので、式は自宅で行った。披露 |
| 宴は、福井の料理屋や仕出し屋がせいぜい仮営業の状況で多くの人 |
| を収容できなかったので、 奥さんの里である永平寺町(当時志比村) |
| の料亭で行った。当時としてはかなり豪勢の部類で、いわゆるお頭 |
| (タイ)付き≠ナあった。とはいえ、今日の豪華さとはくらべようもない |
| 簡素なものであった。 |
| 新婚旅行は、石川県の片山津温泉の「かのや」という旅館。北陸線の |
| 国鉄 (JR) 福井駅から汽車で動橋まで行き、そこで電車に乗り換えて |
| 片山津へ行くのである。今と違って列車の数は少なく、どの列車も混ん |
| でいた。下り列車の利用なので大阪方面への上り列車ほどの混みよう |
| ではなかったが、ゆっくり座ってというわけにはいかなかった。二人が手 |
| にした荷物は米と炭であった。主食と燃料を自参しなければ新婚さんと |
| いえども泊めてもらえなかったのである。でも、さすがは温泉旅館。
しっ |
| とりと落着いた部屋から湖を眺め、 新鮮でうまい魚も口にし、ゆっくり湯 |